『天安門、恋人たち』の上映をきっかけに中国電影局より5年間の映画製作・上映禁止処分を受けた監督ロウ・イエが処分を無視し、ゲリラ的に撮影を敢行したラブストーリー。
springfever
検閲という束縛がないことで自由な映画製作を行えたというロウ・イエ監督
学校、書店、旅行代理店、コピー品の工場
ショーパブ、ライブハウス、ホテルなど
場面場面の光や窓の外に広がる景色が素晴らしかった。

ストーリーは夫の浮気を疑う女性教師がその調査を依頼し、夫の相手が男性であることを突き止めたところからはじまり。
夫のボーイフレンドだった男性と探偵の青年と青年の彼女のそれぞれの環境、思い、感情が交錯する濃厚な内容なのだけれど
それぞれの立場からみた感情表現が際立っていて
一人一人の抱えている苦しさや失ったものへの喪失感と情景が重なって
見ていて美しすぎると思った。

手持ちカメラだからか人物がクローズアップされている画面がほとんど。
だからその画面との近さがとても危うくてやるせない気持ちが伝わってくるかんじがした。

とてもコンパクトにストレートに撮っていったのだとすると凄いこと。
計算しつくされたストーリーと演出で映画は出来る。
とても印象にのこる映画作品だと思う。

前作の「天安門、恋人たち」を前日にレンタルしてみたのだけれど
ストーリーのもっていきかた、表現方法はそんなに変わってはいなかったように思った。
ラストのもっていき方が前回より絶妙というか
過去の引用が素晴らしくて、うわってなった。

ちゃんと前作を見てから観たかった作品だったから
ほんと借りてみてからみて正解だった。
良かった。

作中引用されている詩は郁達夫の文章。
「春風沈酔の夜」は『中国現代文学選集』第五巻(平凡社、1962)で読めるらしい。