平成館 特別展示室

修復を終え、日本初公開となる曽我蕭白(そがしょうはく)の最高傑作『雲龍図』をはじめ、長谷川等伯(はせがわとうはく)、尾形光琳(おがたこうりん)、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)などの手による、かつて海を渡った"まぼろしの国宝"とも呼べる日本美術の至宝が一堂に里帰り
仏像・仏画に絵巻、中世水墨画から近世絵画まで、約90点を紹介。
ボストン美術館
閉館時間まで入ると決めて2時に入館。
常設展の本館1Fを軽く見てから平成館へ。

混んでいるというのはもぅ仕方なく
隙間隙間でしっかりと鑑賞。
今思えばそうもしっかりと観ていなかったかもしれない。
刀剣はすっ飛ばしたし・・・・

しかしながら
珠玉の名宝が並ぶ中で
なんやかんやいっても若冲の2枚の出来ほどすばらしいものは無かったなぁという印象。
『十六羅漢図』がMyベストだった。
雲龍図の黒をとても楽しみにしていたけど黒さでも若冲の方が余白の白さが際立つためか黒くかんじた。
これだけ迫力のある大きさの絵がきているからこそそう思ったのかもしれない。
本当に贅沢な展覧会だった。

閉館間際じっくり観ようと決めた作品は
尾形光琳の『松島図屏風』

遠くから見ても近くで見ても面白い。
波は波らしく松も松らしい
鮮やかな色とダイナミックな配置。
そして細やかな波の構図。
もうちょっと独り占めしてじっくり見たかったけれど
それはかなわなかったのが残念だった。

じっと観ていて泣きそうになったのは
快慶の弥勒菩薩立像

少ししゃがみこむと瞳がうっすらと滲むように光るので
そんなうるっとした瞳をじっと見つめていると
こちらの全てを見通して
「全てわかっていますよ」と受け止められている気分に。
荘厳で軽やかなお姿に美を超えた信仰のシンボルを強く感じる。
本当にすがってしまいそうだった。
狩野元信の『白衣観音図』も丹精で観ていて心が洗われるようだった。

そしてこの展示の目玉!二大絵巻
吉備大臣入唐絵巻
平治物語絵巻 三条殿夜討巻

これ観るのほんとうに大変だったのだけれど・・・・
面白すぎた。

物語の展開・表情どれをとってもわかりやすく軽快。
寝てる表情にしてもどんなかっこで寝てんねん!っとつっこみたなるおかしさ。

平時物語のなまなましさ+細かさ
動乱の全てをもてる技術全てを使って描きたいっていう気迫が伝わってくるよう。
火炎の火の粉・熱風・爆発・黒煙までがリアルだった。

今回ウイリアム・スタージス・ビゲローのコレクション寄贈100年記念事業として、日本とアメリカの協力のもと未公開作品を含む大規模な修復事業が行われ里帰りが実現したわけだけれど
理解ある収集家が人生をかけて集めてこうして修復して一番に日本で公開してくれるというなんとありがたいことかと思う。
海外に流出してしまったことは残念だけれど、関東大震災・戦争・空襲という悲劇がその後日本で起こるわけだからこれだけ状態よく現存されているのは奇跡なのだと思う。
心からおかえりなさいと。
全国ツアーがんばってと言ってきた。

そうだ
平櫛田中さんの岡倉天心像の出迎えも嬉しかったのでした。

ちなみにこの日の私の鑑賞スタイルは・・・・

こんなかんじでした。