2011年発表のシリーズ《Illuminance》(イルミナンス)と最新作《あめつち》《影を見る》からなる展示構成
新たなアプローチによる映像作品の出品も
早春の阿蘇山の野焼きのイメージを中心に地球上の数々の事象をとおして、作家の感覚と直観がより大きな世界へと向けて開かれていくような初公開となる新作シリーズ。
川内倫子の作品世界の魅力と本質、そして新たな展開にせまった大規模個展。
川内倫子展 照度 あめつち 影を見る

倫子さんのこうした展示をずっと待っていた。
会場に入った瞬間。
やっと観れたぁこういうのを待ってたぁと心の声が漏れそうなくらいだった。

Illuminanceの回廊から映像
プライベートルームような小部屋に新作
ずっとドキドキしながら高揚したまま会場を後に。

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会場入って右を見れば
お昼休みが終わって教室に戻る子供たちが階段を駆け上がる一瞬
その階段の真中にまっすぐ伸びる光の筋
青山ブックセンターでのトークで
世界がパタパタしていると表現されていたことを最初の作品で思い出す。

背中には日食の光の環
つきあたあり真正面には森の中で耀きを放つひと筋の陽の光。
その光に向かい歩いていく。
両サイドの写真に囲まれながらなんども往復する。

きっと全てがパタパタしていた瞬間

おにぎりをにぎる優しい手
砂場であそぶ子供の手
なるとの渦潮
柴桜の渦
呼応する光の連鎖
まぶしくもありなまなましくもあり
立ち止まるたびにドキんとする。

左右同じ映像をタイミングをずらして鑑賞するインスタレーション。
大きなスクリーン二つを同時に見ながら
共通点をとっさに探したり
右に流れていたものが左に流れて混乱したり
同時に二つの写真を観続けることに意外に飽きがこなかったり
しんしんと降る雪や
はらはらと舞う木の葉に心打たれて泣きそうになったり
頭の中で起きるパニックに動揺しながら
たえまなく流れる映像に
世界はこんな小さなことでも美しく楽しいと思い知らされる。
「ずーっと観ていたい」世界はすぐそこにころがっているよと教えられた気がした。
どんな短い映像も「ずーっと観ていても楽しい」瞬間ばかり
映像ってまわし始めてから起きる何かが肝
反応してシャッターを切るのとはまた違った運のようなものがあったりする。
水・風・生き物・乗り物・光
どれも生きていて動いている。
永遠に見ていられる気がした。
映像が二週目に入ってどのタイミングでこの部屋をでたらいいのか考え始めた。
どちらかの映像におたまじゃくしが出てきたら出ようと決めて
左の画面で流れた瞬間ブースを出た。

真中に座るスペースがあるプライベートな空間に
コンタクトシートとアクリルの額装になった小さめの写真がランダムに並ぶ。

コンタクトシートはこれじゃなくてこれなんだなぁというように
ちょっとした倫子ワールドを垣間見る。
映像の余韻がとても大きかったのでここで一呼吸ブレイクできた気がした。

そして最後
阿蘇の野焼きや野鳥の群れの映像と
野焼きの写真や神事の写真

真っ黒になった阿蘇のこんもりとした山を観て
とても美しいと思った。

倫子さんがかりたてられ、その土地に呼ばれて撮らされている気がしてならなくなる。
スケールの大きさだけではなく
倫子さんを通して何か世界のすばらしさ、気高さ、生きる営みを考えさせられた気がした。
世界は光で満ちている。

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■余談
倫子さんのトークは今まで3〜4回くらい参加していて
どれも印象的だったのだけれど
イルミナンスの写真集が発売された時に青山ブックセンターであった
是枝さんとのトークが最後でとても印象にあったから
ここ最近のトークは遠慮してみた。
なんか上書きされるのが恐かったのもあるし
話を聞く前に展示をみてなかったというのもあったけど。
先日の鈴木さんとのトークは参加すればよかったと後悔していた。
そんな中
トークに参加した泉さんのブログに「奇跡」についてちょっと書かれていて目が止まる
「奇跡は必要だよ」「(奇跡が)よくあるんだよね」
「大事なものを目立たせるには、大事じゃないものを減らす。余計なことがあると、濁る」
http://dawu.blog51.fc2.com/blog-entry-398.html

興味あったのだけどなんか違う気がして結局参加しなかったのが悔やまれる。