最初の作品《銀座雑草論》(1993)から、代表作《泰山木:花》(1999)、《睡蓮》(2002)、そしてこの展覧会のために作られた新作《芙蓉》(2012)に至る須田の仕事を紹介

美術館エントランス・ホール(さや堂ホール)として保存されている昭和2年建造の洋風建築(旧川崎銀行千葉支店)でも、このスペースのためにつくられた新作を展示。

さらに7階展示室では、日本美術に造詣が深い作家自ら、千葉市美術館のコレクションから江戸時代の絵画・版画の名品を選び、「須田悦弘による江戸の美」展も。
所蔵作品と須田の木彫と組み合わせた展示も。
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本物と見紛うほどリアルな花や草の木彫で知られる作家、須田悦弘。
自ら制作した木彫を美術館の展示室や古い建物の片隅に忍ばせ、作品のためにつくられた建屋内に納め、ときには過去の名品と組み合わせて展示するインスタレーション。
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終わってしまった展示だけれど
『須田悦弘展』も『須田悦弘による日本の美』も構成・展示お見事だった。

ブロガーさんのつぶやきなどを見ると
全部作品を観ているのか不安になるけれど・・・

大きな作品から米粒まで幅広い木彫の繊細な彫刻をじっくり観れた。

漆部屋の芙蓉はちょっと漆独特の香がまだ残っていて
大学4回生卒制時代を思い出した。
葉の虫食い穴や花びらの筋まで、ほんものの花を愛でているよう。 
展示空間まで作りこまれている展示が多かったので
作品と一対一で向き合えたのも貴重だった。
待って居る人のことを思うとちょっと贅沢というか
集中しきれないところもあったけれど
こっそり空間にしのばせる作品と
作品空間までゼロからつくりあげていくという二極化の作品展示にただただすごいなぁと。

須田さんがプロデュースした『須田悦弘による日本の美』の浮世絵・版画の展示
今まで浮世絵が苦手だったにもかかわらず
壁にかけてある展示は無くて、一作品一作品平に机の上に載せたような箱型の展示になっていて
ぐっと引き寄せられた。
紙に凸凹の加工がしてあって
浮き出ている面がとても美しかった。

江戸時代の刷師スゲー!!!!!

内心ちょっとバクバクした。

平で見ることで少し当時の人たちが目にした視点ととても近いのではないかと思いながら
江戸時代の風土を感じてワクワクした。

浮世絵もやっぱり面白いんだなぁと。
今まで薄暗い照明の中で、ちまっとした展示をただただ見ただけだったけれど
今回ほんととても身近に観れて良かった。

1Fのエントランス・ホール(さや堂ホール)として保存されている昭和2年建造の洋風建築(旧川崎銀行千葉支店)でも、このスペースのためにつくられた新作
バラ・スミレも素晴らしかった。

作品を観ながら
また写真を撮りながら
写真を撮っている人を見ながら感じたことは

ほんものの花を自然光で見て撮った方が感動するのに・・・ということ

ちょっと皮肉れているかもしれないけれど
限られた場所、人口の光で照らされた作品はどこか切ない気持ちにもなった。

いつまでも永遠に美しさが保証されている作品だけれど
触ることさえも拒絶されそうな繊細さ
愛でるだけしか許されていない作品

須田さんの彫刻は「場所」や「時間」さえもコントロールされた完璧なものがあると思う。

今回強く思ったのは
できれば少し自然光があるとこで作品が見たいということ。
なのでヴァンジ美術館の今年の展示はとても良かったなぁと。

でも
国際美術館のチューリップと雑草
原美術館の椿(此レハ飲水ニ非ズ)
直島の椿
そこに行けばいつでも出会える作品もあるわけで。
今後どんなところに作品が所蔵されるのかも楽しみのひとつ。

▼この日撮った作品をば・・・IS05 で撮っているので黒がしまってません。


帰り際・・・彫刻ではないけれど
1F出口付近にガラス内に納められたオオガハスがあった。 
やはり自然光良いねぇ。