西洋画の技術と日本画の伝統を融合した異才の画家・川村清雄(1852〜1934)。
今展では、川村の欧州留学時代の貴重な素描や、川村の支援者であった出版業の加島虎吉と栃木県の資産家・青木藤作のコレクションを紹介。
kawamurameguro
江戸、明治、大正、昭和を生き、明治以降もっとも早い時期に海外で学んだ画家 川村清雄
徳川家の給費生として津田梅子らとアメリカに留学し、のちに渡ったイタリアではベネチア美術学校で本格的な西洋画を学習。
西洋画の卓越した技術を持ちながら、日本の絵画を研究、絹本に金箔下地に油彩で、歴史や故事などのテーマを描き、その異彩を放つ画風で注目を集めるも時代から孤立。
再評価の機運が高まったのは没後半世紀もたってから。
そうした中、今年の秋に江戸東京博物館(静岡県立美術館に巡回)では大規模な「川村清雄」展が開催
これに合わせ「もうひとつの川村清雄展」を同時期に開催。
目黒区美術館と那珂川町馬頭広重美術館の二つのコレクションに合わせ、さらに当館のコレクションが、出版業を営んでいた支援者加島虎吉の旧コレクションという意味から、川村がかかわった書籍や冊子の装丁デザインにも光をあて約150点を展示。
目黒区所蔵作品より40 点程度、那珂川町馬頭広重美術館所蔵より約50 点。装丁関係:50 点
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油絵のはずなのに毛筆のような伸びやかな筆感。
構図も横長、縦長と当時ではきっと珍しいフォーマットだったろうと思う。
それにしても
漆の上に油絵で描くとは・・・・
本当に不思議な技を習得したものだなぁと。

東京江戸博物館の展示は見ていなかったのだけけれど
目黒区立美術館の所蔵しているコレクションがとても興味深く
また好みに近かったのでとても楽しく鑑賞できた。

装丁にしても、絵画にしても、レイアウトが決まりすぎていて
余白もカッコイイ。
海外での留学経験からか、質感の表現がとても緻密。
写実的とはまた違うと思う。
モチーフの存在感が描かれているもの全てに感じる。

雀・オウム・鳩・鴨
飼っていたとのことで、どれも一瞬の動きが表現されている。
とても躍動的で愛嬌がある。
身近にあるものをモチーフに淡々と書きながら
時に、留学時代を思い起こしながら風景も描く画業人生。
なんかとても幸せだったのではないかなぁと思った。

清雄の作品にも驚いたけれど
明治・大正の印刷技術もびっくり。
この時代の印刷技術はどこも真似が出来なかったらしく日本独自に発展したとか。
ミスの無い、完璧なリトグラフ。
清雄のデザイン・レイアウトセンスも素晴らしいけれどそれを追随する技術面にも当時の日本の活気みたいなもを感じざるを得なかった。
何に向かったエネルギーだったんだろうなぁ。
西洋からの技術の吸収力とそれを活かす応用力はすさまじいものがあったんだろうなぁと感じる。

最後に
木目や漆という日本独特の素材との組み合わせがほんとうに心惹かれた。
ぎりぎり行って良かった。

展示も関連付けがきっちりしているので
二つの所蔵作品でも関連づけしてあって面白かった。

http://mmat.jp/exhibition/archives/ex121020-3