国内外で注目すべき活動を展開する現代作家を取り上げ、個展形式で紹介する「アーティスト・ファイル」展。
5回目となる今回は約2年ぶりの開催となり、海外の作家3名を含む8名の作家が参加。
アーティスト・ファイル2013
ダレン・アーモンド
Darren ALMOND (1971-)
ウィガン(英国)に生まれる。 現在、ロンドン在住。
今日のイ2005年のターナー賞にノミネートされた映像作品《あなたがいれば・・・》と、
世界各地で撮影した幻想的な写真シリーズ《Fullmoons》を展示。

東亭順
AZUMATEI Jun (1973-)
東京に生まれる。 現在、バーゼル(スイス)在住。
新作の絵画を組み合わせたインスタレーションを出品。

ヂョン・ヨンドゥ
Yeondoo JUNG (1969-)
晋州(韓国)に生まれる。 現在、ソウル在住。
子供が描いた絵をもとに制作された写真シリーズ《ワンダーランド》と、
韓国の老人が語るエピソードを映像によって再解釈した《手作りの記憶》を出品。

利部志穂
KAGABU Shiho (1981-)
神奈川県に生まれる。 現在、神奈川県在住。
利部志穂は、拾得した廃材、購入した材料、現場で見いだされたもの、ヴィデオ映像、ドローイング、ことばなど、使用可能で手に入る、ほとんどあらゆる素材を用いて、インスタレーションを制作します。

國安孝昌
KUNIYASU Takamasa (1957-)
北海道に生まれる。 現在、茨城県在住。
規則的にユニットを組み合わせる仕事で制作を始めた國安孝昌は、80年代半ばには、積み木のような形状の陶片と丸太を積み上げ、巨大な構築物を制作するようになりました。

ナリニ・マラニ
Nalini MALANI (1946-)
カラチ(インド、現パキスタン)に生まれる。 現在、ムンバイ(インド)在住。
絵画作品のほか、「ドクメンタ13」(2012)に出品された新作の映像インスタレーションを展示。

中澤英明
NAKAZAWA Hideaki (1955-)
新潟県に生まれる。 現在、岐阜県在住。
東京藝術大学で油画技法材料研究室に学んだ中澤英明は、手間のかかるテンペラ技法を使って制作を続けています。近年は、規格サイズの画面を使い、モノトーンの背景に、正面を向いた子供の胸像を繰り返し描いています。

志賀理江子
SHIGA Lieko (1980-)
愛知県に生まれる。 現在、宮城県在住。
ロンドンで学び、世界各地で制作した志賀は、2009年より宮城県名取市の北釜に暮らしてきました。
本展には、この地で制作された4年ぶりの新作が出品。
=====
チラシに掲載されている作品の意味がずっと不思議でならなかったけれど。
ヂョン・ヨンドゥの作品解説を読んでなるほどと思った。
CGを使わず、全てアナログ名作業だけで写真にするという手間に脱帽。
子供のありそうでない二次元の世界を再現するという手法の突拍子も無いアイデアが凄い。
子供フィルターを逆手に取っているともいえるけれど
奇想天外に出来上がったメルヘンを3次元にして写真という2次元の表現に収めるのだから
けっこうとんでもないこと。
子供の描いたものとイラストと照らし合わせて見るからより面白いのだと思う。

 インド在住のナリニ・マラニさんの作品が一番良かった。
くるくると回る4つの透明度のある筒型の生地に絵が描かれていて、それに映像が当たり壁にその絵が拡大投影されるというもの。
繰り返し出てくる模様にプロジェクターで投影された映像世界・音楽が重なって、世界が変化していく。
部屋全体が別世界のようにゆっくりと物語の中につつまれていくような感覚になった。
骨格標本のようなイラストがとっても良いなと思った。
ざっくりとした味のあるイラストっぽい絵なのだけれど、エキゾチックで南国の紙芝居っぽい雰囲気。
ひとつひとつを見ていくと、声にならない叫びのような苦しい表情の人物がいたりと幸せな絵では無いのだけれど
とても強くて、エネルギーに満ちていたと思う。

仙台まで見にいけなかった志賀理江子のパネル展示は
展示室一杯に大きく伸ばされた板張りの写真がところせましと
重なり合っていて、何をどうみればいいのか混乱しながら
すきますきまをぬいながら鑑賞。
闇の中にぬっと何かが映っている。
スイカをシャツの中に入れた妊婦のようなおなかになったおじさん。
亡霊のようなおばさん。
こちらを怖がらせているのか何を迫らせているのかを考えながら作品の中をくぐりぬける。
恐怖の森・林を通り抜けたよう。
その恐怖とは一体何なのか。自分がぞっとするものは何か。
仙台の北釜という土地。工事現場ような写真の展示方法。
この場にいる意味。
とにかく迫ってくる空間。考えろ。考えなければいけない。
必ず意味があるのだから。
結論はまだ出ていないけれどこの展示についての映像や著書を読んでみないと思った。