ほぼ日 糸井さんの毎日コラム
今日のダーリン
http://www.1101.com/home.html

日替わりのコラムなので
毎日11時すぎには更新されてしまう。

浅草の展示が終わってひと段落付き
余裕が少しもてるようになって今週くらいからまた読みはじめた。

昨日の今日ダーは
東北には、いま、「いい背中」がいっぱいあるよっていうはなし。

そして今日は
じぶんの人生は、「自前」で「自腹」っていうはなし。

とっても沁みたんだよね。
もっともすぎて
言葉に出来なかった
語れなかったことを
この二日であっさりコラムにしていただいたかんじ。

大河ドラマの「平清盛」もそうだけど
今年は
「生き方」「どう生きるか」っていうところかもしれない。

去年はきっと気づきだったはず。
その気づきをどういかすかが今年!
さぁどうする2012年。
あと6日もたてば旧暦の正月。
なんか今年は旧暦からはじめてみようかな?
なんて。

*****
2012年1月26日 
・「あの町のこどもたちは、
  あんなおとなたちを見て育つんだから、
  これからがたのしみですねぇ」

 東北の取材をしてきた人と会って、
 そんなことばを聞きました。
 ぼくの知っている東北の人たちのことが、
 ほめられているような気がして、
 とてもうれしかったです。
 
 そうだよなぁ。
 どんなふうに、なにを教えるよりも、
 おとなたちが実際に「どう生きているか」が、
 こどもたちに大きな影響をあたえるんだと思います。

 ちょっと大きくなったこどもたちは、おとなたちが
 「やせがまん」をしていることも知っています。
 ちょっとかっこつけて笑っていることも、わかってます。
 こころからうれしそうにわらっている瞬間も、
 きっと見逃さずに見ています。
 そうして、じぶんにとっての
 「かっこいいおとな像」をイメージしていくんでしょう。
 あんなふうに生きたいなぁ、とか、
 あんなふうにはなるまい、とかね。
 
 ごくごく自然に、「じぶんを後回しにする」おとなや、
 つらさや、かなしさを「ぐっとこらえる」人たちを、
 ぼくはぼくで、そういえば見てきたように思います。
 それは、どんなことばよりも、身にしみました。
 そういう人が言う「くだらない冗談」は、
 ほんとうにおもしろく感じたりもしたものでした。
 
 東北には、いま、「いい背中」がいっぱいあります。
 もちろん、見たくない背中もあるんだと思います。
 でも、「いい背中」は、ほんとうに強いからね。
 どんなことばより、人のこころをひっぱってくれます。
 だってねぇ、じぶん自身がおとなのはずの、
 ぼくだって、じっと見ちゃうような背中だもの。
 男、女、お年寄り、若い人‥‥静かなはずの背中が、
 ほんとうによく語ってくれてます。

*****

2012年1月27日
・「自前」とか「自腹」とか、
 それなりにじぶんの身を削って得る経験を、
 もっとしたほうがいいと思うんだよね。
 
 レシピとか、マニュアルとか、レビューとか、
 体験記とか、ランキングとか、
 なにかをしようと思ったり、使おうと思ったりすると、
 参考にできる情報が山ほどある。
 だから、なんにもしてない、手に入れてないうちから、
 「あれはいい」だの「これはこういう欠点がある」だの、
 すっかり知ったような気になれるわけだ。
 
 どんなものごとにも、長所と短所があるし、
 人にはそれぞれの好みもあるから、
 どれほどあらゆる情報を集めて検討したとしても、
 誰でも納得できるひとつの結論なんてものはない。
 それに、ものごとには、
 受け手の側の技術ってものもあるからね。
 どんなに優れた楽器を買ったって、
 演奏の腕がなければ、いい音楽は奏でられないわけでさ。
 
 比較検討、情報精査、最良の選択‥‥
 なんてことばかり、やってるのってケチくさくないか。
 「転びたくない一心で、全力で走らない」みたいな感じ。
 もっと損しろよ、と、ぼくは思うんです。
 買った本や映画がつまらなかったとか、
 行ってみた遊び場でおもしろくなかったとか、
 手に入れた家電があんまりよくなかったとか、
 失敗したり損したり、じぶんの裁量でやろうよ、もっと。
 まぁ、選んだ恋人がろくでもなかった
 ‥‥なんていう厳寒のケースも含めてさ、
 傷や痛みをある割合で引き受けたやつのほうが、
 損はしているかもしれないけど、心がでかいと思うんだ。
 
 ま、傷を負うのが目的ってわけじゃないんだけど、
 じぶんの人生は、「自前」で「自腹」だろう。
 資料だかデータだかばっかり凝視していたら、
 どれほど「失敗を避けられる」としても、
 「自前」の「自腹」のおもしろさがないよねー。
 失敗は成功のもとって、ほんとにほんとなんだぜ。